舌下免疫療法

スギ花粉症の舌下免疫療法は6〜11月末 に開始できます。
ダニの舌下免疫療法は いつからでも開始できます。
(当院では原則として6歳から実施できます たくさんのお子さんが実施しております)

 

免疫療法(アレルゲン特異的免疫療法、減感作療法)とは?

アレルギーの原因であるアレルゲンを少量から投与して、からだをアレルゲンに慣らすことによって、アレルギー症状を和らげる治療法で、減感作療法ともいいます。

抗アレルギー薬の治療とは違って根治あるいは長期間の治療効果が期待できます。
スギ花粉症と、ダニによるアレルギー性鼻炎が対象になります。

アレルギー性鼻炎のガイドラインに記載されている標準的な治療法です。
近年では舌下が主流であり、当院では新規の開始はすべて舌下です。
(以前は注射の方法が主流でした)

 

対象:スギ花粉症、ダニによるアレルギー性鼻炎

治療開始前に血液検査による確定診断が必要です。(検査は通年で行っています)
スギ、ダニとも舌下免疫療法は6歳以上から開始できます。

重要な注意点

  • 初回は15分間の待機が必要です
  • 治療期間が3〜5年と長期間にわたります
  • 途中で治療を中断すると、治療効果が期待できません
  • 副作用として口腔内の違和感がありますが、徐々に感じなくなります。
  • 原理的にはアナフィラキシー(全身のアレルギー反応)による重篤な症状が発現するおそれはありますが、過去の報告事例はほとんどありません。
  • スギの舌下免疫療法は6〜11月に開始すると、翌年の花粉シーズン(1〜4月)に効果判定が可能です
  • ダニの舌下免疫療法は、早ければ数週後から効果が現れます
  • スギの免疫療法は花粉飛散期には開始できません(6〜11月の開始が推奨)
  • すべての患者さんに効果が期待できるわけではありません
  • 治療終了後に、徐々に効果が弱くなってくることもあります
  • スギとダニの免疫療法を併用することも可能ですが、同時には開始できません

 

舌下免疫療法の説明

舌下免疫療法(現在の方法)
対象 スギ、ダニ(同時開始は不可)
投与場所 自宅
投与頻度 通年で毎日(1日1回)
方法 舌の下に治療薬を保持
対象年齢 6歳以上(小学生以上を推奨)
治療期間 3〜5年
通院頻度 最初の1回は1週後、2回目は2週後、以後は月1回
治療効果 80%程度
副作用 口腔内の違和感
アナフィラキシー(報告ほぼなし)
特徴 通年で毎日自宅での服用が必要
薬の費用 すべて保険適応
医療証のある方:無料
3割負担の方:スギ(シダキュア)は約2,000円/月、ダニ(ミティキュア、アシテア)は約2,500円/月

 

ふくお小児科アレルギー科における免疫療法の実際

登録を受けた医師のみが行える治療です(当院勤務の医師はすべて実施可能です)。
当院では40年以上にわたり皮下免疫療法(注射の方法)の実績があり、多くの患者さんがその効果を実感されていましたが、2014年以後は舌下免疫療法を中心に行っております。

舌下免疫療法は2014年より保険適応(2018年より小児適応追加)となっており、当院でも非常に多くの患者さんが治療を開始されています。

  • 親子で実施されている方も多くいらっしゃいます。
  • 保険診療で行えますので、比較的安価な治療法です。
  • ご相談、事前検査、開始日には予約が不要です(詳細は診察時に医師より説明いたします)

よくあるご質問

舌下免疫療法の開始にあたって、アレルギー検査は必要ですか?

当院では血液検査を推奨しています。
最近の他院の結果をお持ちでしたら、ご持参ください。
検査の目的はスギ、ダニの程度の確認に加えて、スギ以外の花粉症の程度を確認する必要があります。

スギとダニのどちらを先に実施したらいいでしょうか?同時に開始することはできますか?

お困りの症状や開始する時期にもよりますので、医師と直接ご相談ください。
当院では標準的にはダニを開始することをお勧めしていますが、ダニの困り感がほとんどないケースではスギのみ実施している方もいらっしゃいます。

歯科治療や歯列矯正、発熱などの際はどうしたらいいでしょうか?

舌下療法は毎日の継続がもっとも大切ですが、現実的には数日の飲み忘れは多いと思います。
また、出血を伴う歯科治療などの際には1週間程度の休薬はかまいません。
最長で1ヶ月の休薬は問題ないですが、休薬の予定があらかじめわかる場合には医師とご相談ください。
発熱や風邪でも食欲や水分摂取が問題なければ継続OKですが、しんどければ数日お休みして問題ありません。

子どもが継続できるか心配です

小さいお子さんは、必要性の理解や治療の動機づけが乏しいことがありますので、中断のリスクがあります。
一方、必要性や動機づけがしっかりできれば、きちんと続けているお子さんも大勢いらっしゃいます!
当院では、無理に5歳や年長さんの時期にあわてて開始するよりも、小学校にあがってからの開始を推奨しています。
そのころ(=宿題の意味がわかるころ)には、問題なく必要性が理解できます。
必要性の説明や動機づけの確認は、ご自宅で親御さんが実施した上で、医師が第三者の立場(「先生の立場」)で行います。やはり親御さんとの約束よりは、先生とも約束したほうが続けられるようです。
なお、実際の開始の前に、ラムネやらくがんのようなお菓子で1分間の舌下を体験(唾液を飲まずに口に溜める)を練習しておくことを推奨しています。
継続の一番のポイントは、通院や服薬を続けていることを褒めてあげることですね!


舌下免疫療法に関心がありますが、まわりで行っている人もおらず、なんとなく心配です

アレルギー学会で推奨しておりますし、世界的に実施されている標準的な治療です。
ご心配はもっともですが、免許取りたての際の運転や予防接種の前に感じる不安に似たものだと思いますので、習慣化すれば徐々に不安は減っていきます。
副作用も重篤なものはほぼないですし、軽微な副作用も減弱していきます。毎日歯磨きができる方なら継続できると思っています。
アレルギー性鼻炎や花粉症のつらさは、雨の日の外出の不便さに似ていると思います。
抗アレルギー薬は傘、点鼻薬や目薬は長靴やコートのようなもので、とても面倒ですし、無ければ雨に濡れてしまいます。
一方、舌下免疫療法では「雨がふらなくなってっ傘もコートもいらなくなる」に近い快適さを実感できますので、やってよかったとのお声を多数いただいております。
初回のご相談で、概要を説明し、必要な検査の計画、本人の動機付けの確認、副作用の説明、継続のポイントなどを2回ほどの受診で説明していきます。
院長と院長の家族も実施しておりますし、スタッフにも実施者が多数おります。遠慮なくご相談ください!

舌下免疫療法の費用はどのくらいですか?

すべて保険適応となります
医療証のある方は無料です
3割負担の方は、スギ(シダキュア)で約2,000円/月、ダニ(ミティキュア、アシテア)で約2,500円/月程度が薬局にてお支払いが必要です

参考リンク

アレルゲン免疫療法の案内ページ(鳥居薬品)

 

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